12月半ばに、病気を抱える80代の親の通院支援で実家に帰って一泊した時の話。
夜の食事の最中に、両親が急に安倍元首相殺害事件の話を始め、「あれは山上(容疑者)は殺していない。別のところから誰かに狙われたんだ」と言った。YouTubeの動画を村の知り合いに見せてもらったという。
実家は、ネットはなく、携帯電話もテレビの地上波の電波も届かない山奥の一軒家で、情報ソースは1日遅れで郵送で届く新聞とBS/CS放送のみ。そんな場所に暮らす両親が、知り合いが持ち込んだ動画を見て、そんなことを言い出す。
どうしてそう思ったのと聞いたら、「CIAならやりかねない」とのこと。

で、どう思うと言われたので、「それはフェイクだと思う」と返した。「実は別の誰かが仕込んだこと」という見方はどんな出来事でも説明できてしまうし、自分たちが今までやってきた労働組合や社会運動にすらそういう見方ができてしまう。それは、自分達がやってきたことを自ら無意味化してしまう見方だから、と言った。

両親は長く労働組合や社会運動に携わって来た人だから、少しハッとした表情になったことが救いといえば救いだが、いろいろと考えてしまう。

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自分がいわゆる陰謀論に詳しいかというと、そうではなく、単に9・11の時にまさに「陰謀論」にハマっていたからに他ならない。

何にハマっていたかというと「冷戦終結後米国は唯一の超大国になったが、単独覇権の維持は無理と悟り、世界を多極化させ、責任と負担を分散させる方針へ変化した。それは米国の軍産複合体の生き残り戦略にも合致。分散先は同盟国だけでなく対立する諸国も含まれるが、諸国は米国単独覇権の方が何かと楽なので遅々として進まない。なので、故意に失敗するような稚拙な外交策で世界を掻き回し、無理矢理米国と対立するよう仕向けている」という説。

なかなか尤もらしい説で、新鮮に映った自分は、この説を採る方の有料メルマガを1年超購読してたという。

なんで距離を取れるようになったのかというと、他でもないこの方が「米国はじめ世界の労働者市民他によるさまざまな運動が、軍産複合体に繋がる筋から広められた「アンチ軍産複合体」的報道や情報に踊らされている」と言い始めたから。

自分が表明した/行動したことは全て「米国軍産複合体の掌の上」なのかい⁈と思ったのですよ。
その違和感が貴重だった、と思ってます。

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