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まぜんぼう② 

仏壇から拝借した線香をあげ、手をあわせてハムスターに対してごめんなさいと心の中で何度も謝っていると、周囲の音がしなくなっていることに気づきました。
何かに視られている。
そのとき、初めて視線を背中に感じたのです。

先ほど申した通り、裏庭は決して広くありません。
家の敷地は横に長い母屋の裏手に入ると片側の隅に氏神様、もう一方に井戸があるといった形です。
何かが隠れるような遮蔽物も特にありません。隣家の植木からの落ち葉で地面は腐葉土となっており、湿り気があってジメジメとしているので、子どものときの自分にとって不安になる状態であったことは間違いないと思います。

井戸の方から大きなものが近寄ってくる、そういった想像をし始めた私は思わず井戸のほうを振り返りますが、そこには何もいませんでした。

急に怖くなった私はすぐにその場から逃げ出しました。

共働きだった両親は家におらず、自分一人だったため、家の中でTVの音量を大きくして家族の帰りを待っていました。
そのとき、線香をあげて、そのときに使ったライター(子どもも使える簡単なタイプです)をそのままにしてきてしまったことを思い出します。

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