詳しい感想は帰って書きたいんだけど、私の知る中で一番育った環境に恵まれたアーサー王だったし、一番最悪なマーリンだった。cv櫻井孝宏より酷いマーリンが存在するとは思わなかったよ…
感想つづき※ネタバレ
でもここで脚本上手いな~と思ったのが、アーサーに「自分はそんな人間じゃない」「僕はすべて(体から人生まで)僕のもの」と歌わせるところですよ。というかこれが歌えるんだから本当にアーサーは育ての親や兄と慕うランスロットや村のみんなに愛されて育ったんだなあ…って分かる。でもこの後の人生がさあ…………(つらいよお)
なんやかんやあってエクスカリバーを抜くアーサー。するとでっかい剣のモチーフが天井から下がってくる。これ知ってるダモクレスの剣[つるぎ]ですよね?大人気アニメKのやつだ!と思ったけど観劇した人間の何割に通じるか分からないのでここにしたためておきます。最後にも出てきますダモクレスの剣(違う)
でもストーリーをトータルで見ると、価値観を現代ナイズした結果、ランスロットやグィネヴィアの罪が軽減されて(ここはモーガンの黒魔術の所為に)、モーガンの恨みもそりゃ仕方ないかも…って感じになって、そのしわ寄せが全部マーリンに行ってる感じは大いにあります。まあ原典もだいぶマーリンが何でもやってた気がするけど……
感想つづき※ネタバレ
弓使いの女性グィネヴィアと合流。アーサーとは最初からお互いに好印象っぽい。この時のグィネヴィア・アーサー・ランスロットの歌も良くて~~~!割と前情報では鎌足(星組)の子ども時代みたいな感じかな?と思ってたんだけど全然違った。不安なアーサーに、そうとは知らないままグィネヴィアが「あなたはできる」って言い続けます!ってエールを送る歌だった。それはグィネヴィア側の打算(女性の地位が脅かされない世の中になるように)もあるんだけど、アーサーには力になっただろうし、助け合える相手だと示してくれたみたいでよかった。でもここも崩壊するじゃん……これがアーサー王物語である限り……と思って号泣(この人また泣いてる)
後半で出てくる、「王妃ではない、王と結婚した戦士である」という台詞は印象的でたぶんいろんな人が言及してると思うんだけど、私はこの人も戦士として走り始めたんだなあ…と思いました。トップスターの隣に立って、長い葬式を始めた(昔はトップスター就任を「長い葬式」と言うこともあったそうですね。数年の内に必ず退団することになるので)そういう気持ちになったのは久しぶりかもしれない。割と当社比しっかりめに観てきた月組や雪組のトップコンビ就任はどちらかというと浮かれていたので。
感想つづき※ネタバレ
サクソン族の王は息子を失ってアーサーへの復讐に燃え、アーサーは父エクターを殺されてサクソン族への復讐に囚われたという対比なんだなあ……そしてエクター役の人がサクソン族側の僧侶ポジションで出てくるのがね、意味深だよ。
グィネヴィアとランスロットの追放はこの形がよかったじゃん!!アーサー王伝説(フレンチロック輸入月組版)は何だったのよ……!!!とちょっぴり言いたくもなる(これは過去の脚本への文句)
モーガンはずっとマーリンのことを待っていて、その魔術や知識を教えてほしくて、もっと言えば一緒に人生を過ごしてほしくて、でも二十年間修道院に放置されて……(異母弟が生きてることも教えてもらえなかった・死んだと嘘をつかれていた)という感じなのでまあ恨んでも仕方なしじゃないですか……?という顔をしてしまった観客としても。自死をしなかったのも自分の命とマーリンの命がリンクしているから、と明言しているし。マーリンのこと滅茶苦茶好きじゃん……
モーガンの役がまだ若手で新公学年で男役、今回初の女の役というのもびっくりですけど、普通に上手で……いやたとえ娘役だとしても新公学年は信じられないですよ……???という感じでした。この後劇団はどういう起用の仕方をしていくつもりなんだろう……
感想つづき※ネタバレ
マーリンの人も歌良し芝居良しなのでとにかく全体的にストレスフリーでした。コーラスも圧が求められて曲も難しかったのでしょうから、主要メンバーの歌が上手いだけじゃ駄目で、宙組に回ってきたのかなあこの演目……と思ったり。
一方演出がちょっと……という所がぼちぼちありました。一人か二人セットの上にいる→歌い出してから舞台の手前側へ→幕が下りて歌い続ける(中でセット替え)みたいなのが四回くらい続いた時は流石にもうちょっとなんか……と思ってしまった。ブリリアという舞台は制約があると思うけど(あそこ盆無い?)、ブリリアでしかやらないんだから特化した演出で何か面白いのを見せてほしかった気持ちはある。演出担当はショーをよく担当してる人だったし、なんかこう上手いこと……!版元との契約がほぼ演出変更不可の場合は申し訳ないが……
モーガンとマーリンは最後の、「今私はおまえのものだ」みたいなことを言った瞬間、それをさあ!ずっとさあ!待ってたんじゃないのそれだけを……ねえ!!みたいな叫びを上げそうになりましたし二人で退場していったので、観客は(脳内で)息切れしながら座席に沈みました。
感想つづき※ネタバレ
アーサーの誘いを断る時、グィネヴィアは「貴方の力になる人を育てます(彼女は他の女性に戦闘技術を教えていた)それが私の愛です」って言うんだよ。この直接的ではない、もっと言うと『性愛ではない』愛を『男女間』で描いてくれるのすごくない???って思って……アーサーとしては自分の傍から大切な人が去って行ってしまうシーンなんだけど、観てる側としてはすごい、この脚本を書ける人がいてこの脚本OK出るんだ……ってなってた。異性愛が嫌というより、男女間でも性愛以外の感情のバリエーションをたくさん見たいんだよ派です。
そうして最後一人取り残されたアーサーがエクスカリバーを掲げて、孤高の王として愛した人たちと過ごしたキャメロットをこれからも守っていくんだ…という姿と、新生宙組のトップスター就任だ…!という演者の状況がオーバーラップする感じの演出で完、となります(ダモクレスの剣もあるよ!)
感想※ネタバレ
既にちらっと言ったけど私の知る限り親や友人に一番恵まれたアーサー王だった。序盤で小さな村で荒れた国だけど、みんなで助け合ってより良く生きていこう、いつか指導者が現れるその時にはきっと自分たちはできる!みたいな感じで、とにかくそこに生きる人々なりの希望があり、社会があった。その中でアーサーもただの青年として生きていて、兄貴分として信頼しているランスロットや、大好きな義理の父エクターに囲まれている。
もうここで号泣。だってこれはこの後全部壊されるものだから。私は落ちると分かってるフィクションのジェットコースターで上がってる時が一番アドレナリンが出るんですよ……本当にびしゃびしゃに泣いた。マーリンに来てほしくなかった。この時ほどマーリン来るなよ来るなよと思ったことはなかったと思う(物語が動き出してしまうので)
5秒後に来るんだけど。これは体感ではなくほぼすぐ舞台上に来て「君は暴君である先王の息子」とか言い出すので、本当に人生クラッシャーもいいとこです。なんだこのドルイド僧。誇張ではなくこの日人生で一番マーリンをdisったと思う(ごめん)