こちら「沖縄の海の物語」(1974刊)は、海にまつわる沖縄の民話・伝承を集めた本。
古代の神”アマミキヨ”の国生み神話や、源為朝の沖縄漂着伝承、ハーリー(爬竜船競争)の由来話から、カニと猫が競争するユーモラスなおとぎ話まで、沖縄ならではのバラエティ豊かな27話を収録。
安室二三雄氏による美しい挿画も見どころです。
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話の舞台は沖縄島だけでなく、石垣島や宮古島、また慶良間島・粟国島・伊良部島、さらに日本や中国まで広範囲。
藪地島のヤチバーという妖怪の話や、津堅島の岩の親子の話などは、かなり珍しいのでは?
また、亀を助けて竜宮に行く・魚が女性の姿となり男と夫婦になるなど、日本の民話と似たモチーフも。
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海に囲まれた島々で生まれ、海の彼方のニライカナイを信仰する文化の中で育った沖縄の民話。
豊かな生命が溢れる海を、昔の人がいかに神聖視していたかがわかります。
翻って現代の日本人は、なぜその海を平気で埋め立てたり汚したりするようになったのか。
その傲慢さと愚かさが、残念です。
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