『エヴリデイ・ユートピア』著/クリステン・R・ゴドシー
訳/高橋璃子

そこに行けばどんな夢もかなうという。人はそれを「ユートピア」と呼んできた。人類はどんな世界を夢想し実現させてきたのか。2000年以上の歴史を展望して、現在の我々が 当たり前と思っている社会の在り方は期間限定でしかなく、未来は無限の希望に満ちているかを説く本。

帯の文句は「打倒、家父長制」である。熱い。

著者は社会主義国の研究が専門だそう。社会主義的な考え方がどんな思想のもと、どういう人達に支持されて、どんなふうに実現されてきたか、ちょっと美化しすぎでは〜と思った所はありつつも様々な例示があって面白かった。資本主義的な在り方に異を唱え、すこしでも全体主義的な社会(車や服をシェアしたり、こどもを皆で育てたり)を説けばあらゆる方面から批判を受けるのは、資本主義にとって都合がいいからだという指摘にはとても納得。また、核家族という家族の形は資本主義にとって都合が良く、そのために女子供が犠牲になっているという説明は上野千鶴子の『家父長制と資本主義』にも通じるなとおもった。

異なる世界を夢見続けるイマジネーションが世界は必ず変わる、実際人類は世界を変えてきたのだから。勇気が湧いてくる本だった。

『エヴイデイ・ユートピア』感想つづき 

以下、もやもやしたところ。

日本のユートピア共同体として「ヤマギシ会」と「木の花ファミリー」の名前が挙げられていた。どちらも所有共有と自給自足を掲げ、自然と調和して生活することを目指している団体らしい。

漢方やヨガといった東洋思想に影響をうけ、地方に村を形成して自給自足を目指した団体で日本で一番有名なオウム真理教が、その後どんな事件を起こしたかを考えると、どうしても「カルト」の文字がちらつきいてしまう。おそらくヤマギシ会と思われる出身者の著作にも「カルト」の語がつかわれており、親に会えなくてさみしいうえいつもお腹をすかせていたと書かれてあり、とてもじゃないがユートピアには見えなかった。信念をもって自給自足に取り組む大人はともかく、付き合わされる子供はたまったもんじゃないよなあ。

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1個目の投稿、ちょくちょく日本語がおかしくて恥ずかしいけどせっかくリアクションもらってるのでそのままにします……

何回か読み返さないとだめね

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