『マーリ・アルメイダの七つの月』
著/シェハン・カルナティラカ
訳/山北めぐみ
#読書 #感想
目覚めると彼は冥界にいた。マーリ・アルメイダ。戦場カメラマンで希代の好色漢でゲイでギャンブラー。<光>に向かうまでの猶予は7日間、その間に彼は自分の死の謎を解き、愛する者たちに隠された写真の在りかを伝えなければならない。その写真があれば戦争を終結に導くことができる――死者と生者の入り乱れる混沌の国を風に乗って駆け抜けながら、スリランカの内戦終結のために奔走する。
大好き。最初から最後までずっと好き。「おまえ」で語られる不思議な文体も、皮肉屋な主人公も、ヴォネガット風の愛と達観も、何もかもが好き。単行本上下巻だし馴染みのない固有名詞が山盛りでてくるしスリランカの歴史全然知らないし登場人物めちゃくちゃ多いけど、文体のグルーヴにのせられてぐいぐいと読み進めてしまった。あぁいい小説読んだなあ、Novel《新奇なもの》を体験したなぁ、という気持ち。説明したら野暮になるので読んで欲しい。
映像化されるかなぁ、いやされてほしくないなあ、あまりに奇妙だし、この小説に溢れる死者たちを映像にしたらきっと陳腐になってしまう。どうせやるなら松尾スズキ風(この人もヴォネガットの申し子である)の舞台にしてほしい。