『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』(2023)
監督/堂山卓見
#映画 #感想
三日月形のユートピアを探すのび太達が、誰もがしあわせに暮らせる都市「パラダピア」に迷い込んで完璧な小学生になるハズが…?
大方の予想通り、完全無欠の未来型ユートピアに見えた世界は実は人の心を支配することで成り立つ監視国家であり、住人は特殊な光で思想を統制されられていたという展開になる。住民の大半がこどもたちという点がなかなかリアルで嫌だった。独裁者は教育から支配してくもんだからね…。
成人女性(と思われる)キャラクターが、窮地を子供たちに任せてどっか行ってしまったのはだいぶ無責任だった。でもドラえもんというコンテンツの性質上ある程度仕方ないな~とは思うし、その人物も義賊寄りのアウトローっぽく描かれていたので、目くじら立てるほどではないが。あと「不完全な僕たちだからこそすばらしい」という主題はいいとして、かといってジャイアンにいじめられるのを許容したらいかんので、友情パワーで本当の心を取り戻す展開はちょっとテーマを単純化しすぎちゃうか?と気になった。それはそれとして洗脳が解けるシーンは熱い。大好きですああいうの。
ドラえもんに同じネコ型ロボットの友達ができる、という設定は今まであまりみたことが無くて良かった。
『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』感想つづき
あとこの映画最大の皮肉が効いていてよかったのが、独裁都市ののこりカスをごみ袋に入れちゃうところ。独裁のための装置が目の形をしてるのもよかったね。ビッグブラザーだね。おとなになったときに思い出してほしい。
架空メカや謎装置の破壊シーンはかなり丁寧に描かれる一方で、飛空艇墜落や住民避難シーンがかなりあっさり味付けだったのは、災害を想起させる描写に気を遣っていたのかなと思った。東日本大震災に限らず、この国に住んでる以上必ず災害が起きる。いつも見られる映画にするには都市破壊演出は入れられなかったのかな~、などと。
もうちょっと空中戦というか、大空を舞う楽しさ的なシーンが多いかな~と思っていたらそうでもなく、一番ワクワクしたのが予告編だったな~と思ったのは残念。