窓際のトットちゃん・続き
更にもうひとつ。教会から飛び出したトットちゃんが街を走り抜けるシーンでは、大通りにずらりとヒノマルを振る人が並び、続いて万歳三唱されて送られる若い兵隊さん、ガスマスク着けて遊ぶこども、片足のない軍服姿の男性と黒い眼鏡の老人、喪服で遺骨を抱えて泣く女性が次々と描かれる。このあと起こる死の連鎖を一連のカットだけで表現していて心臓がぎゅううううっとなった。
『この世界の片隅に』登場以降、戦争描写のハードルがはちゃめちゃに上がった気がする。ジャンプ漫画のアニメ化で2クール放送だった『サマータイムレンダ』ですら、空襲時実際に流されたラジオ音声を使っていたほど。トットちゃんも考証が凄く丁寧にされていた印象だった。
一個だけ苦言というか、これは私の受け取り方の問題だけれども。
今の日本でも、「トモエ学園」のような教育を受けたこどもはほとんどいないだろう。特性に合わせた環境・教育はお金持ちの特権であり、ほとんどのこどもたちは享受できない。トットちゃんがトモエ学園に通えたのは電車通学できるだけの財力があったからだ。それを思うと、戦前も戦後も何も変わっちゃいねえんだなあ、という気持ちになった。