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『デ・トゥーシュの騎士』
著/バルベー・ドールヴィイ
訳/中条省平

19世紀のフランスが舞台。幽閉された騎士を助けるために派遣された12人の戦士の闘いを描いた小説。

作者も19世紀の小説家のためか、文体がすごく回りくどいというか、聞き馴染みのない比喩表現が大量に出てきて面白かった。読んでいるとしばしば眠くなったけれど。

塔に幽閉されているのが女性と見紛うほど美人の男性騎士で、語り部はかつての12人の戦士のうちひとりにして若いころから男性に混じって剣を振るってきた女性、という、ちょっと変わった構成だった。一応騎士物語だと思うので普通は逆なんじゃないだろうか。三人称の小説だったはずなのに語り部がいきなり自我を出してきたりと、色々と不思議な小説だな~と思いながら読んでいた。分からないことはありつつ、筋自体は、騎士奪還に至るまでの回想、という感じなので迷子にならず読めたけれど。

性別をひっくりかえしたような登場人物がたくさん出てきたので、ちゃんと分析して読めたらめっちゃ面白いんじゃないだろうか。翻訳者の本で『最後のロマン主義者―バルベー・ドールヴィイの小説宇宙』があるのでこちらも読んでみたい。

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