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『ノーマル・ピープル』著/サリー・ルーニー 訳/山﨑まどか 


離れようとしても離れられないふたりの男女の、高校から大学まで4年間を切れ切れに描く。スライス・オブ・ライフ、切れぎれのシーンを繋げた映画のような、独特の雰囲気をもつ小説だった。

傷つきやすく見栄っ張りで、誰かを必要としているけれどだれにも頼れない、孤独で普通な人たちが、繋がったり離れたりしながら、ちっちゃい痛みに満ちた毎日をなんとかやり過ごしていく。

マリアンは最初からずっと助けを求めているような女の子だったのに、コネルがちっともどうにかしようとしないので、読書中のメモには「コネルがクソ!クソ野郎!」と残されている。落ち着け。なお少なくともコネル以上のクソ野郎が複数名いるため作中クソ野郎ランキング的には下位だし、18歳かそこらの普通の男の子に誰かを助けることを求めるのは酷だ。

若者が主人公を読むと、私はどうしても昔の自分思い出してしまう。この小説は特にそうだった。今より若くて何も変えられず誰も助けられず、居場所を作る方法も知らない「普通の人」だった昔の自分(まぁ…今でも知らんけど…)が、ちょっとだけ慰められるような気がした。

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