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『わたしが先生の「ロリータ」だったころ』
作/アリソン・ウッド
訳/服部理佳

最低最悪な本だった。特に、これが実話ということが。

17歳のアリソンが28歳の高校教師と交際していたときのエピソードが延々と綴られる。これが一昔前の少女漫画なら、教師と学生のロマンチックな恋物語にされたんだろう。著者アリソンは30代半ば、17最だったのはたしかに一昔前だがロマンチックでもなんでもないし、彼女にとって当時の痛みは一昔前ではない。

それにしても、なんて巧妙に未成年の心に取り入るんだろう。君は特別だし自分たちの関係は神聖なものだと言われて揺らがない子がいるだろうか。自分だけの秘密を大切にしない子がいるだろうか。

第三章、生き延びた著者が「あれは虐待だった」と認めていく過程がつらかった。あれは恋だった、彼は自分を愛していた、そのすべてが裏返ってゆく。別れてから何年経っても、ふとした拍子に記憶の底からあの頃の思い出が蘇る。

100分でフェミニズムのとき、上間先生が仰った「身体を使って起こったことは甘く見ない方がいい」という言葉について思う。出来事が語り直されるとき、身体は自分を裏切る。

でも、裏切らせた奴が悪い。そいつは悪い大人だ。そんな奴がこの世に存在していることを直視したい。

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