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『ロング・ウェイ・ノース』(2015)

フランス・デンマーク合作のアニメ映画。
とてもよかったので見終えたあとしばらく「よかった…」しかいえない妖怪みたいになっていた。

前半は町並みの色彩と陰影が美しくて画面から目が離せなかったし、北極圏では流氷の軋む不気味な音が絶えず鳴っていて、いつ足元に亀裂がはしるのか、すぐとなりの氷山が崩れるのか、ずっとハラハラしていた。

キャラクターの演技が好きだったな。たとえば、2年前から不在の祖父の書斎で、開きっぱなしの本や地図を指先でなぞりながら歩いたりする。セル画時代のディズニーのような雰囲気があった。

酒屋のおばさんが与えてくれた親切や、おかあさんが示す控えめな共感に、女性描写への気配りが感じられたのもよかった。

派手なアクションやカメラ回しはないけれど、頭が良くて頑張り屋な主人公と彼女の前にあらわれる人たちが魅力的に描かれていて、見てよかったなぁ、誰かにおすすめしたいなぁ、と思える作品だった。吹き替えが有名声優陣ではなかったのも気が散らなくてよかった。

今の日本じゃ作れない作品だなと思った。漫画原作じゃないし、おたく好みの絵ではないし、派手な作画もないし、全然お金にならなさそうだから…。

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