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📗穴沢優子他(編)『佐藤史生傑作短編集:夢喰い』(河出書房新社)

同じく河出の『総特集 佐藤史生:少女マンガが夢見た未来』と合わせて出版された短編集。
傑作短編集を編むならまあこれは入れるねという作品(金星樹、阿呆船)、代表作「ワン・ゼロ」の雛型的短編(夢喰い)や作者の主な創作手法の一つである神話のSF的語り直し(レギオン)を軸に、他の作品は、それぞれの魅力だけでなく佐藤史生作品を貫くテーマやモチーフの変遷や特徴を見せるために選ばれたもののようで、全体として、2024年という今の関心を持ってはじめて佐藤史生作品を手に取る読者に応える尖ったセレクションになっていて結構驚いたし、オススメです。フェミニズム、今で言うならノンバイナリーだったりクィアだったりする登場人物たち、パンデミックと政治、カーゴ・カルト、文化人類学、等々の言葉にピンと来たら、何かの機会に読んでみてほしい。
個人的には、発表時には80年代風軽佻浮薄コメディとしてしか読まれなかったであろう「バナナ・トリップに最良の日」を(多分)当時は理解されなかったジェンダーの丁寧な解体の試みとしてピックアップしたところに編者の本気を見ました。時代の先を行きすぎてた作者で、読者が読めずに申し訳なかった。

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