続き。「天灯」の構造のネタバレをするので一応伏せ。
成功しているかは別として、「天灯」の設計図はこんな感じで考えていました。中秋の夜の思い出話をBにするAの語りと、その後のどこかの時点で、Aの語りを踏まえつつ中秋の夜の出来事をモチーフにした食籠の図柄を第三者に語るBの語りが交互に来る構造で、Aの語りだけ読んでも、Bの語りだけ読んでも、ABを順に読んで行ってもそれぞれで話が通じるようになっている筈…!です。Aが呂颯でBが鄭和さん。
何でそういうややこしい構造にしたかと言うと、一つは呂颯が極めてプライベートな打ち明け話を始めてしまったので、その聞き手が必要になったこと、その際にアウティングみたいなことにはしたくないなと思ったこと。もう一つには、呂颯の語りを契機として鄭和さんが一人称の語りを獲得していく、みたいな話にしたかったから。現存する鄭和さん関係の碑文をはじめとする文章、とにかく個性が全然感じられなくて非常に歯痒い思いをしていたので、「いつも三人称ですかしてないで、たまには一人称で語ってみろよ」と。なので食籠の説明で三人称で語っているあたりも一応鄭和さんの語りのつもりです。成功しているかは別として…(正直、あまり自信はない…)
(今日はここまで!)