姫乃たまの『永遠なるものたち』が良すぎて何度も読み返してしまう。
彼女が「永遠なるもの」と名付けた「無いもの、無くなってしまったもの、目には見えないもの」に関するエッセイなのだけれども、それら(にまつわる由無事)をとても丁寧に書き起こすことで、対比として「有るもの、目に見えるもの」がくっきりと浮かび上がるのだ。
受験前にデッサンをひたすらやっていた時に、「光を描くためには影を描くことだ」ということを散々叩き込まれた。そして確かに影を色濃く描くことで光を鮮やかに描けるということも身をもって知ることができて、その時ばかりはいけ好かない美術教師のことを少しだけ尊敬したものだが、まさにそういうことなのだと思う。
「永遠なるもの」を正面から見据える彼女の眼差しを通して、この世界を色鮮やかに捉えることができる良書ではないだろうか。