「〔アイヌ民族支援法が〕制定されても不十分と批判されるのは先住民族の基本的な権利行使が文化に限定されているからだ。実は新聞が私たちを民族と呼ぶほどアイヌは先住民族の権利を行使していないのだ。……先住民族の権利の主張が影を潜めアイヌは骨抜きにされたように見えるがそうではない。ここにはアイヌ流サヴァイヴァルの極意がある。アイヌは生き延びるためにアイヌと名乗ることもアイヌ語も一度は捨てた民族なのだ。不満はあるが波風は立てずに新しい法律を受け入れよう、先ずは先祖がいちど遠ざけたアイヌ文化を取り戻そう、そこから次のことを考えようという道筋が生まれたのだ。私たちは変化を受け入れながらもしたたかに生きて先祖の残したものを伝え続けるだろう。」