やっぱなんか先輩になつくより後輩可愛がるほうが性に合ってる気がするな 学生の頃からそんなだったもんなお前……
面白くなってきた
「あの、ユウゴさん」
いつになく真剣な顔つきで、名前を呼ばれてどきっとする。いつもの彼らの家、だが彼女以外は不在のようで。ラッキー、などと思ったのは嘘じゃない。
ついにこの恋情がばれでもしたのか。だとしたらもうここへは来られないな、と思いながら、そわそわするのは心だけに留めておく。
「ん?」
「内緒に……ふたりだけの内緒に、してくださいますか」
何でもないふうな返事を返し、内心、固唾を呑むなどと。なんだなんだ、急に。
「まあ、せやな。俺はええけど」
「ああ、よかった。ありがとうございます」
よくないよくない、なんだそれは。あんた主人がいて、皇帝陛下とも仲良しで、それを鑑みるならば、俺と――内緒?いったいなにを?
空恐ろしい。彼女はなにかの木箱を手にしている。なんだ。何が起こる?
「これ、昨日のお茶菓子の残りで……みなさんがいるときに出すには少し足りないので……今ふたりで食べてしまいませんか?」
頭の中が真っ白で、とりあえず頷いたのは覚えている。じゃあ紅茶を淹れてきますね、と彼女がその場を立ち去ったのも理解していた。
ずるり。椅子から転げ落ちそうになりながら。
「なんやねん、ほんま、なんやねんな……」
20↑/LGBTQ+/たぶんゲームのオタク/鬱病/無職/年金生活/くろいいぬがいます