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『若紫』で療養のために北の山深くを訪れた光源氏と、彼に祈祷を施した老僧都の別れの歌が美しい。

宮人に行きて語らむ。山桜。風よりさきにきても 見るべく
(都に戻り、急いでここを訪ねるよう都人に伝えましょう。風より早くここを訪れないと、激しい風が桜の花を吹き散らしてしまいますよ、と)

優曇華の花待ち得たるここちして、深山桜に目こそ 移らぬ
(三千年に一度咲くという優曇華の花のような光源氏様にお会いできたのですから、もう山桜に目を向けることはありません)

どうしてこんなに美しい歌が思いつくのだろう…。

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