ボツねた!
駆け落ちごっこ遊び→仮タイトル:「駆け出して、今夜」
超途中までです。書いてるうちに駄目だ~ってなった。
驚く事に下手したらこっちが展示用SSでした。
***
夜の巡回を終え、愛馬を厩へ預けた帰り道。
月明かりの下、佇む影を見つけた私は思わず声を掛けていた。
「殿下……?」
「ニケ。遅かったな」
漆黒の衣が翻る。草を踏み分ける音が近づいて、殿下が私の前で足を止めた。
口ぶりから察するに、彼は私を待っていたらしい。けれど何故。
理由が思い当たらず見上げた瞳は、ただ静かに私を見ていた。
「駆け落ちして欲しい」
「は……?」
思い切り殴られたような衝撃が脳を走る。言葉の意味が理解できず、呆けるばかりの私の手を無骨な手が包み込んだ。
「――っ」
「ニケ」
咄嗟に手を払って距離を取る。不動の瞳は僅かに揺らぐがそれだけで、黒い瞳に浮かぶ感情の色は知れない。
けれど、彼の本気は伝わった。
厩に居るはずの天馬が翼をはためかせて舞い降りる。額に角のあるその馬は彼の愛馬。鞍には荷物が繋がれている。
一歩彼が踏み出して、私は一歩引き下がる。
薄い唇が開く寸前、遮るように短く叫んだ。