「ねえ、父さま」
「どうしたんだい？」
「あのね、つぎのたんじょうびにね、ほしいものがあるの」
「欲しい物？　一体何かな。父様に教えてくれる？」
「うん。あのね、わたし、キャベツ畑がほしいの」
「……キャベツ畑？」
「うん！」
「リリーは作物を育てる事に興味が有るのかな？」
「ちがうわ、父さま。あかちゃんがね、ほしいから」
「…………赤ちゃん？」
「あかちゃんはね、キャベツ畑からうまれてくるの！　だからキャベツ畑をつくって、あかちゃんがうまれたらね、わたしのきょうだいになってもらうの！」
「ああ、成る程。リリーは弟か妹が欲しいんだね」
「うんっ！」
「そうかそうか、じゃあナナリーにも相談しておくね」
「やったぁ、父さまありがとう！」
「ふふっ。リリーはお姉さんになりたいんだね」
「そうよ。それに、いまからキャベツ畑をつくっておいたら、みらいのわたしがけっこんしたとき、すぐにわたしのあかちゃんとあえるかなって」
「……結婚？　リリーの、子供？」
「父さま、父さまどうしたの？　父さま？」

この後、父さまの様子が変だと娘に泣きつかれた7ちゃんが慌ててやって来て、事態を把握すると呆然とする夫に呆れつつも厳しくも優しい言葉で6を励ます。