(承前)
それに対して、1970年代に松本深志高校の登山実習で発生した落雷による大量遭難事故は何から何まで不運と言うしかない。唯一当時の教師達が責めを負う事があるとすれば落雷を想定していなかった事だろうがそれも結果論に過ぎない。現在も同様の遭難が起きても全く不思議ではない。
最後の3例は1980年代以降に発生した中高年登山による事故事例。どれもみな酷い有り様だが、お粗末というより恐怖すら感じたのは「トムラウシ山遭難事故(2009)」。ツアーを企画した「アミューズトラベル」は事故後も営業を続け、3年後の万里の長城ツアーでも杜撰な企画により当事者を出し、ようやく業務停止命令が出た。
あと不気味だったのは、持参した防寒着を着用しないまま死亡した参加者がいて、そんな事にまでガイドの指示を求めていたらしい事。「登山は自己責任」という当たり前の原則さえ知らなくても「ツアーなら大丈夫」と思える精神構造が怖い。
いやあ、怖い怖い。(←自分からは登山しようとしない人の気楽な感想)