香港デモという政治的に難しい題材をうまくエンターテインメントに仕上げている。見事なアクション描写、読者をつまづかせない物語展開。ああ、面白かった。週末に美味しいお菓子とコーヒーを片手に、わくわくしながら読むのにぴったりの作品。
特筆すべきは日本側の捜査チームのリーダー・水城真希枝警視で、気の強い若年の女性リーダーではなく、「こういう、おばちゃん警視を待っていた!」と快哉を叫びたくなるような人物造詣。今回は、水城警視を愛でるためにある作品と言ってもよい。
たぶんシリーズ化されるだろうから、これからも追いかけたい。その中で、登場人物全員の心情がどんどん掘り下げられていくのでしょう。香港という土地そのものも、ぜひ登場させてほしい。