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【映画感想】ハロルド・フライのまさかの旅立ち 

予告を見て気になった映画。ドヤドヤと大所帯で歩く様子が感動的に流れるカットもあり「24時間テレビのマラソンみたいな映画だったらがっかりだなあ」と少し構えつつ、まあでも見てみようかとレイトショーへ。いや、とても良かった。原作者が脚本を手掛けており、じっくり読ませる感じで染み渡る。ポスターや予告から受ける印象ほど明るくポジティブな映画ではないけれども、人生の一歩一歩に寄り添った強く優しい映画ではあったと思う。

ストーリーは、還暦を過ぎたハロルドが昔の同僚から余命幾許もないという別れの報せを受け、突発的に800キロ離れたホスピスへ向け歩き出すというもの。その道のりで、ハロルドは過去に思いを馳せながら進んでいく。

旅はとても現実味のある展開で進み、そして終わるのだが、歩くことがもたらしてくれるのは奇跡でも信仰でも達成感でもなく考える時間なんだという実に現実的な積み上げがその分だけ等身大に報いてくれる、という救いがある。堅実な人々、悲しみを背負いながら他者という隣人への心遣いを忘れず生きている人々、「大丈夫、みんな案外親切よ」の「みんな」に寄り添った映画だった。

4月ゴーストトロピック、5月図南の翼(十二国記)、そして今月がこの作品。最近ロードムービーと縁がある。

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