【アニメ #薬屋のひとりごと 】鱠回(上)
商家の主人が海藻を使った鱠を食べて倒れた事件を、主人公の猫猫<マオマオ>が追う、という内容。
鱠に使われた魚が河豚なのではと疑われたが、実際は海藻が原因だったオチ。
現実でも食中毒で死亡例もある、オゴノリ科の海藻をモデルにしていると思われます。
【アニメ #薬屋のひとりごと 】鱠回(中)
そもそも論から。
人間含め哺乳動物の体内で、アラキドン酸という物質からスタートし、複数の酵素が関与し、いくつかの生理活性物質が代謝されてくる、「アラキドン酸カスケード」と呼ばれる代謝系が動いています。
生理活性物質の中のプロスタグランジンE2(以下PGE2)というのが、熱や痛み、炎症反応を起こします(他にも作用はありますが)。
販売名書いちゃいますがロキソニンやイブ(イブプロフェン)といった、解熱鎮痛・抗炎症の作用をもった薬は、このアラキドン酸カスケードの反応の一部に作用して、PGE2が増えないようにする作用がある、といえばわかりやすいでしょうか。つまりPGE2はこれらの薬と逆の作用を持つわけです。
【アニメ #薬屋のひとりごと 】鱠回(下)
ここまで言ったんだからPGE2というのが原因の食中毒なんだろう、と予想がつくと思うのですが、
実は普段は、オゴノリ科の海藻は、PGE2は含有していません。PGE2の材料となる物質と、それをPGE2に変える酵素は含有しています。
条件が整わなければこの海藻は安全です。
条件が整うと、含有する「PGE2のもと」と酵素が反応し、たちまち大量のPGE2が産生され、食中毒を起こす海藻となります。
作中で言われていたように石灰水が有効です。酵素の不活化といって、酵素が働けない状態にする作用が石灰水にあるからです。
ちなみにこの例では、哺乳動物のアラキドン酸カスケードの酵素とは別の酵素が関わっていると言われています。それで哺乳動物に食中毒起こせる物質をドンピシャで生み出せるの、ちょっとすごいですよね。
【リデリウスの業火】アニメ #狼と香辛料 より…現実世界では〔聖アントニウスの火〕と呼ばれる病気が明らかにモデルですね
作中でも、黒くなった麦の毒を摂取したための中毒が……という話でしたが
麦角菌 に感染し黒く変色したイネ科植物を摂取することで起こる
麦角<バッカク>アルカロイドによる中毒です。
(ちなみに稲(つまり米)への感染の報告は現在のところありません)
#狼と香辛料 #Fediverse科学部
【リデリウスの業火】リプ元余談
なお、麦角菌が合成する化学物質の中に「リゼルグ酸」もあり
( #狼と香辛料 の話題として書いていますが #シャーマンキング クラスタも「あっ」てなるところ)
ここから更に合成されたLSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)という幻覚剤もありますね。濫用が問題になっています。
(マンキンは持ち霊のモルフィンの方が成分名としてメジャーですよね、モルヒネ。)
#Fediverse科学部
【リデリウスの業火】アニメ #狼と香辛料 1期最終話より…現実世界では〔聖アントニウスの火〕と呼ばれる病気
待ってね、驚くべき展開ですよ。
リデリウスの業火(リアルの 聖アントニウスの火:麦角菌のバッカクアルカロイド中毒 が元ネタと思われる、以下「業火」と書きます)、これ「病気」と認識されてないな? (恐らく教会の敵、悪魔の提供する)「呪いの」麦にあたったと思われてますよね。
(ロレンスは多分実際はそうじゃなく、なんか麦に不具合が起きて人が食ったらまずいことになる現象、くらいにしか思ってないだろうけど)
もちろんエンベルクの衆がテレオに到着した時にまだロレンス達裏にいたから、聞いてない間に次のような話があったのかも知れないんだが
エンベルクの確か靴屋が「業火」で死んだ、という話の詳細を確認して、特に「症状がそれであるのか鑑別した結果」ってのをエンベルクは提出せにゃならんはずなんですよ。
ここでひと悶着あっていいし、なんならロレンス達が到着するまでもめてても自然です、イーマさんあたりは交渉できるはず(村長とかはダメだ)。もちろん現代のような診察診断は無理でしょうが、なんらかの資料はあるべきで(後述)。私も流れからしてほぼエンベルクの自作自演だと思うので、ここの資料は子細にチェックすれば必ず不備がある。
#狼と香辛料 #Fediverse科学部 [参照]
BTs、そもそも「無理が通れば道理引っ込む」がまかり通ってはならないし
だからこそ現代では権力と宗教の結びつきを禁じてるんですよね(政教分離の原則)。
根拠がなくとも教会の考えが正しいのだ、というのは、天動説を信じる人のアタマですよ。
狼と香辛料、社会派アニメとして読めるのかもね。