モーニング2024年2・3号
「二階堂ゴルフ』
男、二階堂進、35歳。プロゴルファー試験に10年落ち続ける男。
金銭支援してくれていたゴルフクラブから戦力外通知されても、さらに何年も受け続ける。クラブのバイトで食い繋ぎ、「悪霊」と呼ばれ、年々実力は後退し、それでもしつこくしつこく、、、、
夢はどこまで追えるのか。中年を八つ裂きにする福本伸行新作。
さすが福本伸行。
「35歳ってモーニング読者が感情移入するにはちょっと若くないかな?まだ転職とかの転換も効くしさ〜」と思っていた時期が私にもありました。
しかし「ゴルフプロテスト」という素材上、チャンスは年一回。それをダイジェストで「失敗!失敗!」ってトントン進めるでしょ、
ん・・・
気づいたら二階堂、私と同い年・・・?
え、この前まで30代だったのに・・・?
ゾッ・・・
、、、この漫画体験、お分かりでしょうか?
夢を追い続け、現実として年齢を重ねているのにそれを受け入れない男の時間感覚、
その時間感覚をそのまま喰らいました。。。。
言いがちです、「高齢者差別は将来自分の首を絞めるぞ」とか。
すでに自分が高齢に足を踏み入れている当事者側の属性であることを棚に置いて。。
中年以降の社会と自分の時間感覚の乖離。。。ぶるぶる。。。
二階堂の、この感覚、ちょっと分かるンすよ。
昔、草劇団に入ってましてね。
一回劇をやるのも大変なんですよ。まず、前回ケンカした劇団員が辞めるでしょ、人が足りないから他劇団から出てくれる役者さんを交渉して、脚本決めて稽古場決めて配役が決まった後の役者がパートナーとの諍いで来れなくなって(以下5000字略)、
で、一つ芝居をやったらもうその苦労を労る打ち上げを徹夜でやって達成感で翌日爆寝して次の芝居をやろうとしたら、、、、、
なんてやってるとね、まじで数年簡単に溶けます。まじで。
私は16歳から参加してて「これ続けててもプロになれないな」って気づいたのが21歳。5年溶かしたけどその後派遣から正社員になる、とかのルートに支障はなかった。
二階堂は話の始まりですでに10年溶かして、現在18話で6年溶かしてる。16年溶かし。
このあと何年溶かすのかッ!
そして。。。
方向転換して、会社員にはなったけど適応障害で傷病手当もらってる、結局何者にもなれていない私は、
「自分の人生なのに溶かして何が悪いんだよ」と、
二階堂に言われたい気もする。
福本伸行、二階堂の年齢どこまで進めるんだろう。。「まだ若いじゃん!」と笑っていたのが、目を見張るスピードで年齢を重ねる二階堂。ああ見届けなくちゃ。。