デザート2023年11月号
『指先と恋々』
雪は生まれつきの聴覚障害者。同じ大学のバックパッカー、逸臣との、指先で会話する愛しい日々。
私は聴覚障害を持ったことがなく、このマンガの表現が正しいかちょっとわからないとこがあるんだけど、
マンガ表現として、吹き出しの文字が濃い黒ではなく、薄墨になっている工夫で、雪と逸臣の会話のメインが声じゃないことを表現してる。
逆に聴覚のある人間はどんだけセリフに頼ってんだ、という話でもある気もする。
『映像研には手を出すな!」では、「意味のないセリフの吹き出しは建物と同じパースで歪めてしまう」という手法をとっていて、
ことば、セリフ、そういうものの情報量って、そんなに当てになるかな、なんてことを思ったりする。
私は発達障害者(ニューロマイノリティ)で、一般的なコミニュケーションで使われる会話を想定されるレベルに受け止めることができない。投げかけられたことばがすり抜けていくし、私の発する怒涛のような情報量を一気に渡すのも申し訳ないので基本的にあまり喋らない。
(私個人の能力としては)何度も読み返せるテキスト、また字数が制限されたテキストであればかなりコミニュケーションが容易で、すげえ正直な話、初対面の人とは面前でもLINEとかで会話する方がよっぽど会話になると思う。
『指先と恋々』でもLINEで楽しそうにおしゃべりしたり、音声の代わりにライトでチャイムを知らせる装置があったり、違うマイノリティの工夫を見るのは楽しいし勉強になるなあとかそういう目でも見てる。