栗原康『村に火をつけ、白痴になれ』読んだ。
先日みた映画『風よあらしよ』のパンフレットにある伊藤野枝「無政府の事実」は、無政府主義は実現できない空想だという見方に対して、「組合」という村の相互扶助のなかに無政府主義のありかたをみることができる、という話でわりと面白かったのでこの本を読んでみた。
伊藤野枝の墓はでかい天然石をどーんと置いてるらしい。しかも祟るとかなんとか言われて忌み嫌われてたそうで、え、そんな?ってびっくり。性道徳からの解放は実践すると傍目にはそうとうな嫌悪を与えてしまうのだと思った。ひとはなぜ他人の性関係に好悪の感情をもつのか不思議だ。
映画では自由恋愛が女性たちに納得をもたれておらず刃物で刺されたりしていて、大杉の望む自由恋愛のイメージがよくわからなかった。
伊藤野枝と大杉栄はハチャメチャでかなりやばいやつだと思った。ミシンになりたいという話や、結婚は奴隷制だとか、田舎の組合の話とか困ったら金をもらう話も面白い。大金をぽんとくれる後藤新平が気になる。
映画の印象では教師の辻先生がダメ男だったり、大杉が度々野枝に怒られてるのが面白かった。伊藤野枝の楽しげな生き方が描かれていて良い。映画では大河で凶暴な次男を演じた役者のせいか、やたら印象残る村木も気になる。