渡辺努『物価とは何か』
物価の基本的な話から始まって、物価の計測方法から最新の理論まで幅広く論じられている。あとがきに書いている通り、教科書的にメインどころの話題をさらう本ではなく著者の関心に沿って話を進める本であるがどの話も面白くて分かりやすい。個別に思ったことを3点ほど。
・緩やかなデフレがそもそもなぜ悪いのか、という点は後半で述べられているが、そこの展開はやや怪しい。もっとも、これは著者が悪いのではなく学術レベルでもコンセンサスを得られていないトピックだからである。
・貨幣の需要曲線と供給曲線から最適な貨幣供給量が決まるというフリードマンの議論が紹介されているのは珍しいが、あともう一歩で最適デフレ理論まで言えるのだから、そこまで書いても良かったのでは。
・参考文献が乗っていない。……と思いきや、オンラインで参考文献一覧が見られるらしい。
#読書 #りーふの読書メモ
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000361104
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・渡辺先生の講義は難しいとの評判で、実際に話も分かりづらく準必修のマクロ経済学では落単者が結構いたので、本も難しいのかな……と思いきや全然そんなことはなかった。
・指導教員の研究が紹介されていたが、物価の細かい研究をしていることを初めて知った……。