イキウメによる舞台「人魂を届けに」(ABCホール)を観た。ここ数年の社会問題総ざらいのような物語で、イキウメにしてはかなり直接的な表現が多く、彼らの得意な「現実×SF」の面白さが今回あまりなかった気がする。
ややお説教くさく、見ていて正直「知ってるよ」と思った。公文書の改竄も、死刑制度が続いていることも、群衆雪崩も、性的マイノリティへの扱いも我々はとうに知っている。そのものたちが「弱きもの(マイノリティ)」であり、街を追われて森に住み、その先には海しかなく、どこにも行けないと叫ぶのも、とうに「知ってるよ」と思った。ショッキングなトピックスを並べて散文的に散りばめてアッサリ終わらした印象。演劇として権力を批判し、声なき者の声を伝えるのであれば、もっと深掘りしてキャラクター達の人生を見せてほしかった。難しいね。