江馬修『羊の怒る時 関東大震災の三日間』(ちくま文庫)を読んだ。これはこの9月に読んでおきたかった。関東大震災時の朝鮮人虐殺の事で、著者が住む地域にデマが伝わり人々が不安を煽られる様子が生々しい。特に怖かったのが、著者自身も朝鮮人ではないかと疑われ、その疑いが晴れた時に、疑ってきた人たちががっかりしていたというところ。暴力をふるいたかんだろうと思う。著者の知人が後に語ったように、天変地異に対し行き場のない市民の憤懣がはけ口として朝鮮人に向かったのではないかということ。デマに踊らされただけではないというところが恐ろしいところだと思う。「間違いのないのは、すべては日本人全部の責任だという事だ」。政府は今からでも調査をして、犠牲者の数と名前を明らかにするべき。