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『NOPE / ノープ』感想 

めーちゃめちゃ面白かった。前半のやりすぎなくらいのスローペースと主人公の無口さが、後半の転調のなかで効いてくるのすごく良かった。『未知との遭遇』的なUFOモノの恐怖と怪獣映画としてのスペクタクルが見事にリミックスされていて興奮したし、何よりnopeちゃん(映画内ではGジャンという馬の名がつけられていたけど、ぜったいnopeちゃんと呼びたい愛らしさがあの子にはある)の性質が実に愛らしくて良かった。好き嫌い多いとかヒラヒラしたカラフルなものが苦手とか、かわいすぎるやろ……。
nopeちゃんの声がじつは食われた人々の苦悶の叫びの集合体だったと判明するくだりは、巨大生物モノのなかでもかなり上位に位置するくらい気に入った。
画角が途中で変わっていたが、それも映画愛だけではなく技術面からの必要に駆られてのことがわかるだけに映画館で観なかったことを後悔したりもした。
映画が常に見る/見られることの快感と暴力に忠実な芸術であることを意識しつつ、その歴史からオミットされ続けた自分たちのアイデンティティをきっちり主張する手法が堂に入っていて、『アス』の雑さが嘘みたいに丁寧に重ねられた比喩も巧み。撮ることへの異常な執着も抜け漏れなく盛り込み、死角のない愛に溢れたエンタメに仕上げる手腕を堪能した。

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