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バス・ドゥヴォス『ゴースト・トロピック』2回目をル・シネマで。以下ネタバレ。
(長い感想はthreadsに書いていたのだがこっちのほうが枠大きいのでこちらで)

次から次へと「とり残される (left alone)」映画。レフト・アローンてどこかで聞いたような略

主人公は終着駅にとり残され、バスの中でもとり残され、彼女のコーヒーカップは会議室に、ティーカップはドラッグストアに、犬は路上に残される。彼女がやっと車に乗れたと思ったら今度は娘に「とり残される」。娘はボーイフレンドに取り残され、ラストは砂浜で友達からとり残された娘の強い横顔のカットで〆。
最初と最後の、部屋の中をタイムラプスで撮影したカットも、住人に「とり残された」部屋だし。

「そこにはもういない誰か・何か」の痕跡を、16ミリの画像とエモい劇伴(このギターがまたえげつない)で抉り込んでくるそのパワーはすごい。主人公が車に拾われたシーンの次の、ヘッドライトの群れがホタルのように移ろうカットをはじめ、不在の部屋で「しーっ」ってやる若者、路上に佇む犬、ガソリンスタンドのライトの下に立つ主人公、印象的なカットがこれでもかと。

個人的には『Here』の方が好きだけど、残り2作も早く公開してほしい。絶対この監督はただもんじゃないと思う。

ケリー・ライカート『ショーイング・アップ』 at ヒューマントラストシネマ有楽町
Kelly Reichardt ‘Showing Up’ (2022)

No words, no words…

ジャック・ロジエ『フィフィ・マルタンガル』 at ユーロスペース
Jacques Rozier ‘Fifi Martingale’

不思議なコメディ。スローでグダグダ、だけどカメラワークはきちんと計算されている。最後はなぜか笑ってしまう。なんなんだろうこの感じは。
オープニングの鏡越しのメークのシーンが素晴らしい。

羨ましい。俺もあんなふうに何も考えずに寝たい。

今日観た、チャン・リュル『福岡』について(ネタバレ含)。

延々と続く、幽霊が見ているような手持ちキャメラ(カットを切らない長回しがそれを助長)。
古本屋に戻ってくるエンディングが、それこそが現実なのか、それともそれまでが現実なのか分からなくなるのが見事。

男2女1の三角形だけど、クォン・ヘヒョとユン・ジェムンのおっさんコンビは若いパク・ソダムに手を出すわけでもなく、ひたすら「過去の女の思い出」に苦しむ。この2人からミソジニー臭を感じないのも嬉しい。

この2人を手玉に取りながら、3ヶ国語の間を、男たちの間を、福岡の街を、そして現実と幻想の間を静かに泳いでいるパク・ソダムが素晴らしい。

そしてこのロウソクのショットよ。3人が文字通り「息を合わせる」瞬間。

自分が、最新作『柳川』よりこっちのほうが好きなのは、老いの現実と忘れられない過去をこんなふうに引きずったまま生きていけたらと思うからかもしれない。

三宅唱『ケイコ 目を澄ませて』 at テアトル新宿

今年のラスボス。
ため息しか出ん。
裏を返すの確定。
瀬浪歌央『パンにジャムをぬること』を思い出す。

この人の歌詞はいつもどこか「不透明」だけど、この曲の背景を知って聴くと、足元が崩される感じがする。


NAKABAYASHI, Arisa ナカバヤシアリサ《Untitled 刻む》 at 国立新美術館

Idemitsu Art Award 審査員賞。
いろんなものが動いてる。人もいる。多分横浜で最初に観た時も同じこと言ってる。観客は成長しません。おめでとうございます。

OYAMA, Yukiko 小山維子《眠る/立たせる》 at 国立新美術館

Idemitsu Art Award 入選。おめでとうございます。
まさかの90度回転なのね。そらこっちも絵の前で一生懸命首を曲げて略
実はどんな絵でもそうやらんといかん気がしている。そうではないでしょうか。

オフィスマウンテン『ホールドミーおよしお - “2人”版』 at 横浜市民ギャラリー 地下1階展示室

今年の演劇(なのか?)ラスボス。あーあー頭炭酸。
まさかのW杯ムーブか? 明日確かめに来ます。

【2022年回顧:読書】その3
続き。

三木那由他『言葉の展望台』(講談社)

古田徹也『このゲームにはゴールがない』(筑摩書房)

哲学系が多いのは、そういうことを考える1年だったからだろうか。去年は映画系が多かった。

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【2022年回顧:読書】その2
それ以外のベストは全5冊。

三木那由他『話し手の意味の心理性と公共性』(勁草書房)

高井ゆと里『極限の思想 ハイデガー 世界内存在を生きる』(講談社メチエ)

小川幸司・成田龍一編『シリーズ歴史総合を学ぶ 1 世界史の考え方』(岩波新書)

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【2022年回顧:読書】
今年も回顧ツイを。こっちに下書きして、しばらくしたらあちらに上げる。

今年読んだ本、俺の問答無用な2トップは、ショーン・フェイ『トランスジェンダー問題』(明石書店)と唐作桂子『出会う日』(左右社)です。前者でいろいろ考えたし、後者では何度も反芻した。
読書体験の両サイドな形。

黒川幸則『にわのすなば GARDEN SANDBOX』 at ポレポレ東中野

初日! ま〜あポンコツ(褒! ドニ・ラヴァンのダンスが見られます!
村上由規乃と中村瞳太のキャスティングは、『ロストベイベーロスト』を観た監督がオファーしたらしい。素晴らしいです。

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