岩田奎『田中裕明の百句』(ふらんす堂)。
俳句をあまり読まない自分は、俳句の意味についてあまり考えたことがない。面白かったのは、著者の解説と自分の受けたイメージ(?)が違う句があるところか。
麦秋と思ふ食堂車にひとり
自分は田中の6歳下で地方都市出身だが、「麦秋」で浮かぶのは小津『麦秋』のラストショット。麦畑の具体的なイメージは沸いてこない。
食堂車はもう長らくJRから消えており、自分の20代の旅行で僅かに利用した薄い記憶。
この句は、旅情というよりも、この2単語(漢字)の喚起力とバーチャルリアリティ(「思ふ」で加速する)で読んでいる。それで面白い。
墓みちの筍みちと出会ひけり
みちが2つ続くと「みっちり」、それぞれ墓と筍がみっちり埋まった中の細い道が2つ。結構シュールなイメージが喚起されてくるところが面白いと思った。
皆さんどんなふうに読んでるんだろう。これは詩も同じだけど。