ファム・ティエン・アン『黄色い繭の殻の中』 at アテネ・フランセ文化センター
Pham Thien An 'Inside the Yellow Cocoon Shell'
ヤマ張ってアテネ・フランセを選んだ俺は、今日で今年の運を使い果たした感。
No words, no words...
とにかく劇場公開しろ下さい。何でもいいからもう一度観たい!

昨日のアテネフランセ、ファム・ティエン・アンの長編『黄色い繭の殻の中』と『静黙』『常に備えよ』の短編2本、それに四方田犬彦・石坂健治のトーク合わせて5時間コースだったんだが、特に映画の余韻が凄すぎてしばらく他の映画を観たくない(まあ観に行くけど。
以下ネタバレ込みでメモ。
映画を独学で学んだ33歳が初めて撮った長編が3時間、それが「撮影技法48手」(石坂健治)を駆使して、それもテクに溺れるわけじゃなく自分の世界観をしっかり見せる。
石坂氏曰く、ショット数は67。ショットあたり平均時間は3分。
繰り出される長回しも尋常じゃない。暗転した部屋に蛍光する時計の針がゆっくりクローズアップしながらダイアローグが聞こえてくるとか、かろうじて光がさす早朝にニワトリの朝無き→

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(それも遠くの相手との呼び交わし)が繰り返されながらゆ~~っくり明るくなっていきながら最後はケンカするところを人間に捕まって危うく夜の会食の材料にされかかるが、とか。
極めつけは2人の対話からバイクで移動してルーじいさんの家を訪ねて会話して屋内をトラベリングするシーン。
元恋人と廃墟で会う回想シーンの、女性の後ろ姿がクソかっこいい。怪我した小鳥を拾い上げるどアップのインパクト。裸の隣人の不気味さ。ランダムに想起される断片の喚起力が恐ろしい。ニワトリ含め、動物に細かく演出つけてんじゃないかとしか思えないショットの連打。ドリトル先生かよ。
恐らく、隠れた政治的背景も読み取るべきなんだろう。
いくらでも出てくる「なんじゃこれ」なんだが、最後に四方田犬彦氏曰く、「監督は溝口をどう思うか聞いてみたい」。ホンマそれ。

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