もちデイペペってこんな…?その1
世話をしてやってくれ、とデイビットに頼まれて、もちペペは小さなもちを預かった。
それはもちペペの半分ほどしかない、金髪のもちだった。まだちゃんと話すこともできず、もちもち、もちもちと泣くくらいしかできいない、本当に生まれたてのもちだ。もちペペもまだ成人しているとは言えないけれど、この金髪のもちは赤ちゃん、いやそこまでではないけれど子どもだった。もちもちの木の根元から連れてこられたのか、ふるふると震えながらもちもちとしている。
どういうことかと主を見れば、ペペロンチーノからの預かりモノなんだ、と言われた。
ペペロンチーノ。
もちペペはそのニンゲンを知っている。主であるニンゲン、デイビット・ゼム・ヴォイドと仲のいいニンゲンだ。よく家に遊びに来て、もちペペにお菓子やフルーツをくれる。時々アクセサリーや洋服をくれたりもする。冬になったときに編んでもらった小さなマフラーは、暖かくて可愛らしかった。
主があのニンゲンに求婚していることを、もちペペは知っていた。あのニンゲンが主の求婚を受けるであろうことも、察していた。もちペペは主が好きだったけれど、所詮はニンゲンだ。ニンゲンはニンゲン同士で番うべきである、もちペペは心得ている。弁えている。感じた胸の痛みは、多分気のせいだ。