伝奇デイペペ没の針千本…
妙漣寺の足を撫でてから、デイビットは立ち上がった。少し困ったように視線をさ迷させる妙漣寺の小指に、自分のそれを絡ませた。
「ゆーびきーりげーんまーんうそついたらはーりせーんぼんのーまーす!」
「あ……。ゆ、指切った…」
「嘘ついたら飲ませるよ」
「で、でも…」
妙漣寺は、うろうろと視線をさ迷わせていた。嘘をついている、と分かりやすいその表情を、デイビットはじっと見つめる。デイビットの視線から逃れようと、妙漣寺は顔を逸らせた。赤く染まっている頬に、デイビットは手を伸ばす。
「妙漣寺」
「嘘、ついてないわ。ついてない…」
「針千本のーまーす」
「ついてない…っ」
妙漣寺の頬を両手で挟んで、デイビットは大きな碧眼を見つめた。返ってこない視線に唇を尖らせ、ぐっと顔を近づける。むにゅ、と唇を押し付ければ、妙漣寺の体が小さく跳ねた。デイビットが妙漣寺に飲ませる針は、いつだってキスだ。隠し事をしがちな妙漣寺は、今まで何回もデイビットに針を飲まされていた。
「や、やだ…ついてない、嘘なんて…っ」
もう一回、もう一回と、デイビットはくっつけるだけのキスを何回もする。唇を押し付けるたびに、妙漣寺の反論が小さくなっていく。キスが10回目を数えると、瞳を潤ませた妙漣寺がごめんなさい、と呟いた。