晴れて永遠の師弟として何でも言い合える仲になったのでいちゃいちゃしながら酒を飲むリト師弟(アンチエイジ『きみうつし』時空) 

君も成人したしな!とお酒飲ませたらテバくんが末っ子拗ね拗ね甘えん坊になり「そうか“君”は酒に弱かったのか……」としみじみするリーバル様の話。

 今まで周りにいた奴らはことごとく酒に強いうわばみばかりだったので新鮮な心持ちだ。

「うう……ぐすっ……“ず”、……」
「……“ず”?」
「……ずるいんです、リーバル様は!」

 ぐわっとテバが起き上がり、たまった鬱憤を張らすように捲し立てる。

「俺はッ、昔からリーバル様のことしか考えられなくって、リーバル様以上に大切にしたいとかカッコいいとか思う人なんていないのにっ、」
「へ、え……?」

 何を可愛らしいことを言ってるんだこの弟子は。
 リーバルは、呆気にとられてぽかんと嘴を開けた。
 たまった怨み節と文句が、その第一声が、よりによってそれなのか。
 他のどんな罵倒や嘆きも上手く受け止めていなすつもりのあったリーバルだったが、流石にこのような展開は予想だにできず、言葉に詰まった。

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その②晴れて永遠の師弟として何でも言い合える仲になったのでいちゃいちゃしながら酒を飲むリト師弟(アンチエイジ『きみうつし』時空) 

「あ~~……その……うん、うん。……僕が悪かったよ。君は本当に、僕のことが大好きだね……」
「わ、笑ってるじゃないですかァ!」
「あ、え、うそ。……ごめんって!」

 ぎっとますます眦を吊り上げて睨む大きな弟子に、リーバルは思わず自分の嘴を覆った。本当に自覚がなかったのだ。そもそも睨んでくる弟子も、酒気で赤みのさした嘴に、色の濃くなった金の瞳は潤んでいて、それが目に涙を溜めて眉を寄せているのだ。全く怖さというものがない。まるきりぐずる子供だ。身体ばっかりが先に育ち、見てくれは大人と変わらないが、この弟子はまだまだ若い。かつて厄災戦争に身を置いていた頃のリーバルとたいして変わらないのだ。そしてリーバルは、かつての自分が同世代のリトに比べて些か大人びていた自覚がある。

「リーバル様のそういうの、きらいです。」
「そういうの、って? 」
「そうやっていつまでも俺のことを何にも知らない雛みたいに扱うところです!!」
「雛みたいにってもなあ……」

 さきほど自分はリーバルのこと以外に何も知らないのにリーバルばかりが余裕ぶっているのはずるいと無茶な文句をつけたのはテバの方なのだが。

その③尻切れトンボで終わり。晴れて永遠の師弟として何でも言い合える仲になったのでいちゃいちゃしながら酒を飲むリト師弟(アンチエイジ『きみうつし』時空) 

 はあ、とリーバルはため息を吐いた。これは長引きそうだ。

「酔っぱらいのうわ言だ……」
「酔っぱらってませんったら!」
「酔っぱらいは皆そう言うんだよ。覚えておくと良い。そう言い出した奴からはまず弓を取り上げておかないと、浮かれて真夜中に鏑矢でも打ち上げかねない。いいね。僕との約束だよ」
「……はい」

 いつもの説教の口調でそう言ってやると、ずび、と鼻をすすってテバは大人しく頷いた。そういうところが、素直な雛のようだというのに。
 リーバルはもう一度嘴元を押さえて、にやけていないのを確認してから咳払いをした。

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