「楽園の烏」と「マギ」のネタバレ若干含みます
八咫烏シリーズの「烏百花 白百合の章」を読んで、みよしちゃんと雪哉のやり取りに、雪哉の大好きな一面を久々に見られて胸が熱くなりました。
そんな雪哉だからあんな雪哉になってしまって、まさかそんなおいうそだろう雪哉…な雪哉になり果ててしまう、というのがほんとにほんとによくわかります。つらい…
大高忍先生の名作マンガ「マギ」のクライマックスで、シンドバッドがアラジンに自分の抱えてきた悲しみを穏やかに吐露するシーンがあります。
「人間の自然な感情を原動力に戦争は起こる。世界でなく人間がそういうふうにできている。人間が人間らしく生きる限り世界は変わらない」
だから人間を変えようとした事。もちろんそんな野望が少年マンガ的に押し通るわけないのですが、わたしはこのとても悲しい、愛情深い顔をしたシンドバッドの事を繰り返し考えます。
「楽園の烏」に至る雪哉の道のりを思うと心がギュウッとなるのは、あの時のシンドバッドのどうしようもない悲しみを雪哉に重ねてしまうからだと思います。
もう雪哉は雪哉の人生を降りられないし、犯した罪も奪われた命も何一つ戻りはしないけれど、世界と烏の仕組みを超えても守ろうとした雪哉の「楽園」の行く末を見届けたいです。