「誰一人取り残さない」みたいな物言いが、選挙期間に繰り返し言われ、もてはやされた現象を、ぼんやりと考えている。
いつも「取り残されている」と感じていた多くの人々は、マイノリティ属性を生きる人々ではなくて、あげる声を持たずにいた人々なのではないか。
文字を積極的に読む習慣がない。またはその時間を取れない。この世界で何が起こっているか、知る手段がテレビでしかないような。ただ、普通に暮らすことが幸福であって、そこから外れることはなんだかよくないことだと、いつの間にか信じ込まされている人々。
誰かの描いた物語通りの世界を信じ込まされている人々が、変化を恐れ「取り残されるのではないか」と怯えていた。
その人々の不安を、言葉はどう取り除くのか。