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村上春樹は1Q84までは大体読んでいたと思う。最初のころの作品はかなり好きだった。僕と鼠。あと短編集。
若い頃に読んだことも関係してる。自身の女性としてのアイデンティティや経験は、村上春樹に限らず、作品を読むとき忘れて読めた。
彼の、時代を受け止めて小説にしようとする姿勢に敬意を抱いていた。今までの作家と違うことをする、という数々の決意、意志、行為も。オウム関連のノンフィクション作品も繰り返し読んだ。
とはいえ、男が女を媒介にして成長だか世界へのコミットだかを成し遂げる漱石と変わらない構造、その男女2者関係が規範的なところが気に食わなかった。100%の女の子じゃねえだろ!夢見ていいように使うな!男同士の関係なんとかしろ!と。

私の場合、明確に「神の子どもたちは皆踊る」で考えの合わなさが限界になった。その後も読んでたけど1Q84で脱落した。

でも嫌なところはたくさんあるけど、リーダビリティの高い文章はいつ読んでもすごいし、何より彼が時代の問題を、彼自身で掘り下げ問いを立て、挑戦を繰り返して作品にした、その射程はとても広くて長いものだと思う。狭いのが悪いわけではないけれど、彼はそういう挑戦をしたんじゃないか。そして成功させているんじゃないか。あとのことは彼のでなく、続く人たちの課題だと私は思う。

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