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血の継承よりも、事物や思いの継承の方が好き、と感じたのはいつからだったか。
この作品には大きな影響を受けたと思う。

「女の人はそれは力のある魔女だったから、十五歳のとき、しきたりにのっとって傷を負わされた。村の長が魔女を村のために働かせようとして、右の腿の骨を砕いたのだった。魔女は長を決して許さなかった。
(中略)
でも、知識というものは、かならず誰かに伝えなければならない。だから魔女は、自分の魔法を伝えるのにふさわしい相手を求めて、何百年、何千年先まで探したのだ。
そして見つけたのが、私だった。」
(徳間書店「花の魔法、白のドラゴン」(2004) D・W・ジョーンズ 田中薫子訳 p.148)

同作品内に出てくる「世襲魔女制度」とは、まるっきり対極に位置するようなこと。

世襲制度が持つ、ある人間の知識や技術や経験を、その血を分けた子供にしか受け継がせないことの退屈さ。また、残酷さ。
そうではなくて、資格さえ持ち得れば誰だって構わない……もとは縁もゆかりもなかったような者にでも、自分の性質と相性がよく、波長さえ合えば渡すことができる、という美しい夢。
時代をこえて受け継がれていく「何か」への夢。

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