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《古書店街の橋姫》の玉森。怠惰で自己中心的かつ見栄っ張り、もっと直球になると「クズ系」とか形容される主人公だけど、全編を通してとても共感できたし好きになれたタイプのキャラクター。可愛くないところが可愛い、と思う。下手にまっすぐなだけの人物より信頼できる部分が結構ある。 

孤独を受け入れがたく、友情という言葉づらや「昔みたいにみんなで」の概念にこだわって奔走したり、相手の死そのものではなく、相手が自分を選ばないことに対して涙したりするのとか……私の側にいてくれれば誰でもよかった、でも、しかし……と内心で零す場面もいい!

友人を喪うこと自体よりも、別の作家への嫉妬が先に立つときの心情が好き。

そして不正規連隊(ホームズが元ネタ)の子供たちに羨望を抱いて、真の友情が何なのかよくわからないまま真の友情を求め、本当に自分の親友ならこうしてくれ、親友なのにどうしてこうしてくれないんだ、と一方的に周囲に求める痛々しい姿、あの感じはとてもわかる。

「……わかっている、私たちは大人だ。
(中略)
だがそんなのを取っ払ってこの友情を証明して欲しいと思うのは、おかしいことだろうか。」
《古書店街の橋姫》本編より

この「友情を証明」という言葉に込められた痛々しさが本当にたまらない。

橋姫をプレイした全体的な感想(後日談も含む)はブログにまとめています。

各シナリオで明確にテーマが異なるところや、それぞれの背景や着想元に近代の文学作品が用いられているところ、雰囲気も好みに合っていて、友達に薦められ手を伸ばしたのは正解だった。
ネタバレにならない範囲の台詞でこよなく愛しているのは、玉森の「なぜ、私ばかりがこんな目にぃ!!!」。

主人公がこれを言い放つの、あまりにも良すぎる。

【大正ミステリーBLG「古書店街の橋姫」感想メモ】
chinorandom.com/entry/2022/04/

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