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「カメラに向かって一人で話すのって、何だか恥ずかしいな」
ふと我に返る。
急に照れてしまい、知らず苦笑いがこぼれた。
今も信じられないのだ。誰かのための、自分の思いを伝えようとしようとして、ここに座っているなんて。
だけどこれは本当だ。間違いなく生体電算機である自分、緑川ルリ子の選択だ。
気恥ずかしさから思わず閉じたノートパソコンに手を置きながら青空を見上げる。顎のラインで綺麗に揃えられた髪が風に揺れた。
情報機関の男が買って来た(実際購入してくれた若い婦人警官のセンスは驚くほど素朴だった)服に着替えたルリ子は今、屋外に出てパソコンと向かい合っている。
一つの健気な決意を秘めて。
今度は撮影ではなくデータ解析のために筐体を開いた。風に混じった小さな機械音と共にルリ子の目が青く瞬く。

(お兄さんが賢いのは前から知っていたけど、あれほどの戦闘能力もあったのね。お父さんが造ったバッタオーグをものともしなかった)

SHOCKERを抜けた後ルリ子が見て来た、本郷猛が敵を倒していく姿。
父、緑川博士によって施されたバッタオーグの性能は疑うべくもない。だが兄イチローは。チョウオーグは、更にその上を行くということ。

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