水晶公とひろしがさ、原っぱで日向ぼっこしてるのを定点カメラでずっと観ていたい。
春の昼中に2人で並んで座ってさ、ひろしがゴロッと寝転がると「行儀が悪いぞ」ってすごく甘い声で叱られる。微塵も怒っていないような声で、春風を気持ち良さそうに浴びるひろしの、その得意げな口元を見つめている公。不意にひろしが下から手を伸ばして公にフードをかぶせるの。「な、なにをするんだ」「こうしていれば見えたんだなぁ」寝転がるひろしからは、フードをかぶった公の慌てて膨らむ頬や暗闇に合わせて広がる瞳孔が見えている。「惜しいことしたわ」ってのんびりした声で言うひろしに、どうしようもなく胸がくすぐったくて笑ってる公。
夏の昼下がりは暑くって、ひろしが冷たい飲み物を持ってきてくれる。昨日はクリームソーダ、今日はフローズンヨーグルト。明日は何がいい?って聞かれて、新生時代に片鱗の見えていた甘党が極まっていることに気づいて楽しそうな公。それを飲むよりも、筋肉達磨の草臥れたおっさんから可愛いドリンクが出てくるのが楽しみだし、帰ってから思い出し笑いをするたびに柔らかい溜息を吐いてしまう。
水晶公とひろしがさ、原っぱで日向ぼっこしてるのを定点カメラでずっと観ていたい。
秋は昼宴会が楽しくて、最近は公からひろしを誘うことが多い。ムジカ・ユニバーサリスに珍しいものが入ったんだ、果樹園でもらったんだ、ライナが持っていけと言ってくれたんだ、あなたが好きそうだと思って、あの、いやその、特に話題があるわけではないのだがあなたの旅の話でも聞きながら食べるのに良いかと思って……。夏の頃にひろしが差し入れたささやかな飲み物と違ってなんだかいつもボリューミーだから、ひろしは内心(最近公に食育されてる……?)って思ってる。
冬の昼前は、前夜に降った雪の名残が陽光を反射して、傍に座る公まで輝かせる。楽しそうに話す公の横顔を見ていると、彼が体を揺らす度にチカチカと光が目に映って、ひろしはたまらない気持ちになる。喋る度に喉を通る空気が冷たくて火照る胸の内には心地よくて、冬のひろしは少し口下手になる。わずかに間のあるひろしの様子を公は心配するけれど、「寒いなら中へ入ろうか」と言うとひろしは公を抱き寄せてしまうから、結局公の口数も減るばかりなのだ。