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スティーヴン・バクスター「ゼムリャー」(SFマガジン 1997年10月号/中村融訳)読んだ。
世界初の有人宇宙飛行を成功させたユーリ・ガガーリン。その数年後、彼はふたたび宇宙へ——今度は金星へと——旅立とうとしていた……。
ソ連時代の謎めいた宇宙開発の闇を絡めた一種の歴史改変SF。途中途中に挟まれる金星の鉱物生命体視点の描写が詩的で美しい。

アルヴィン・グリーンバーグ「ホルヘ・ルイス・ボルヘスによる『フランツ・カフカ』」(ナイトランド・クォータリー vol.24/垂野創一郎訳)読んだ。
ボルヘスが残した読めない文字で記された一編の物語。インディオのある部族の方言で記されたというその記事のコピーは、好事家の間で複写され増殖していく。
そして、そのなかに見られるあるシンボルが、全世界に、誰にも気づかれることなく浸透していく。そしてとうとう、フランツ・カフカ「変身」冒頭に登場する「虫」の概念をも上書きしてしまう……。
フィクションが現実を塗り替える逆説性、そして「カフカとその先駆者たち」の顕現とも言える世界の変容。素晴らしいボルヘストリビュート短編。これは読まれるべき。

今日買った本。『ラテンアメリカ文学のブーム』『乱視読者の帰還』がうれしい。

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