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フィリップ・ジャルスキー《オルフェーオの物語》 

東京オペラシティ コンサートホールにて。
何年振りだろう、久々のジャルスキーだった。

オルフェウスとエウリディーケの物語をモンテヴェルディ、ロッシ、サルトーリオの3つの歌劇から小さなオペラに再構築した作品。

冒頭、愛し合う全能感がすごい。「幸せすぎる、苦しみよ、悩みよ、来るなら来い、それさえも我々には甘美」と歌う無垢なふたりの若々しさと漲る幸福感。愛し愛される喜びに包まれた有頂天さがむしろ心地よい。そこから、急転直下の冥界、悲嘆、懇願、絶望、すべての歌声が揺蕩うように響いた。ソプラノのエメート・バラートとの声質の相性はぴったり。オルフェウスという人ならぬ存在もカウンターテナーの声ならではの自然さで表現されて、新鮮だった。
ジャルスキーの声はあくまで豊かで繊細なニュアンスがあり、金属的なひっかかりがない。だから聴いていて満ち足りた気持ちをなるのだ。

アンコールのモンテヴェルディ『ポッペーアの戴冠』からの「ただあなたを見つめ」がまた愛情豊かな二重唱で涙が出そうになった。

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