「私たちはもう、子どもだましはやめましょう。刺激だけでごまかすことをやめましょう。着色菓子のようなもの、ピラピラしたもの、けばけばしいもの、おどかすだけのもの、支離滅裂なもの、だらしのないものを、本とよぶことをやめましょう。それらを出版して、一度だけであきられて捨てられるような商利主義とおろかな無駄づかいを断ち切りましょう。その反対に、子どもたちを静かなところにさそいこんで、ゆっくりと深々と、楽しくおもしろく美しく、いくどでも聞きたくなるようなすばらしい語り手を、私たちは絵本とよびましょう。」
『絵本論』瀬田貞二