三井さんの高一の時の小さくなった練習着諸々を桑田たち一年生に譲り渡したとリョータが聞いて、え~~そうなんすかそーだね親御さんカワイソーだもんねせっかく買ったのにとごちゃごちゃ言うのでちょっと面倒くさい三井さん

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部活後の通学路で「ねえ他にもないの、もったいないでしょ使わないで捨てちゃうの」などとうるさいので、「もうねえよバッシュしか」と返事すると静かになる。「そーすか。……アシックス?」「……おー。お前コンバースだろ」「まあ最近は」「バッシュは自分に合わせたのが一番だし、縁起悪いだろ」「縁起とかはないけど……まあそうすね」「背ぇ伸びたからもう履けないしな」

しんみりした空気を振り払うように「アイス食べようぜ」と三井さんが言う。自動販売機のアイスをわあわあ言いながら選んで、三井さんがお金を入れる。落ちてきたアイスをリョータに渡して、「お前には一番おごってやってるんだからな」と笑う。「どーも」と言いながらチョコミントの包装をはがす。フルーツのアイスの包装をはがしながら、手にアイスついた!と三井さんが大声を出す。リョータは高一の三井さんを想像する。アシックスを履いた、今より背の低い年下の少年を思い浮かべる。
「お礼に明日のメニューは外周スタートにしてあげますね」と言うと、アイスを口に含んだまま三井さんがもごもごと抗議の声を上げる。笑ってチョコミントをかじる。冷たくてすっとしてちょっとむせて、今度は三井さんが笑った。

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