氷型の魔法を使えば、当然周囲の空気が冷やされ身体も冷える。
別にそれは我慢出来るのだ。型は変えようがないし、そもそも戦闘中に自分が行使する魔法に怯んでなどいられない。
けれど空離れの季節の、底冷えするような冷気にも平気で耐えられるのかと問われれば、ナナリーはこう答える。
私別に寒いのが好きなのでも得意なのでもないわよ、と。
窓の外で雪華が踊る。霜が降りる。
外とは対象的に充分に温められた室内。ぴったり隣り合って座るソファの上でそれでも肩を寄せると、陽だまりの匂いと温もりを持つ男がくすくす笑ってナナリーの髪を梳いた。そのまま流れるような動作で頬にキスを落としてくる。
女ったらしめ、と長年ナナリーが思ってきたアルウェスは、今ではナナリー限定のキス魔だ。
柔和な笑みを含んだ声が耳に心地良い。
「空離れの季節が一番好きな季節になりそう。君からくっついてくれるし」
「……からかうなら離れる」
減らず口を叩く湯たんぽは求めてない、と唇を尖らせる。
「そんな事言わないで」
もっと温めてあげるからおいで。広げられた腕の中に、不貞腐れたナナリーが飛び込んだのかどうか。
それは二人だけが知っている。
#1T67SS
寒いのは好きじゃないから(感想)
@coral35 ありがとうございます!
今回のテーマが恋人だったので、がっつりいちゃいちゃさせようとしたら6が7限定のキス魔で陽だまりで湯たんぽになってたした……笑
壁紙志願!傍で見守りたいですよね