大学内にある研究所の一般公開を見に行く機会があったのだけど、教授のプチ講義に
「私、耳が聞こえないのですが、参加することは可能でしょうか?」
と声をかけたら、戸惑った様子で「アッ…ハイ、ドウゾ……」とiPadのメモアプリを起動させながらどう話せば良いのか困っている様子だった。
なので、展示物を見ながら疑問に思ったことをスマホのメモアプリに打ち出して教授に見せた。
「良い疑問ですね! それはねぇ…」
途端に生き生きと淀みなく話し出す教授。
メモアプリに要約した事項を書き出す手も一切止まらない。
話はめちゃくちゃ分かりやすかったし、今まで知らなかったことを新たに知ることの快感を久々に味わえた。
教授は、一通り話し終わった後に満足そうな表情を浮かべたかと思ったら(大丈夫だったかな…)とこちらを伺うような顔をしていた。
「とても分かりやすかったです。ありがとうございました」と、メモアプリに打ち出して見せながら礼をした。
やっぱり、私は『知る』ことによって得られる快感がたまらなく好きなのだなぁと改めて思った。
相手の唇の動きを見て話の内容を推測するという苦行をコミュニケーションと称され「お前は聴者よりも2倍、3倍努力しなければ人並みに生きていけない」と教育されていた頃には味わえなかった快感だった。
この快感が得られるほど自由になれたのだなぁと、ちょっと泣いた。
#ろう者
#fedibird